私が訪れたフランスの美しい村々 – オートワール ミディ=ピレネー / ロット県

筆者自身が添乗員として実際に訪れたフランスの美しい村を紹介する第2回目は、ミディ=ピレネー地域圏、ロット県のオートワールだ。ここもコロンジュ=ラ=ルージュ同様2回訪れており、いずれもコロンジュ=ラ=ルージュとともにロカマドゥールからの日帰りで訪れているため、この2つの村は自身にとってはセットで記憶されている。しかし2つとも特徴は顕著で、コロンジュ=ラ=ルージュが赤レンガの村であるならオートワールはフランスの原風景ともいうべき村だろう。おそらく誰もが「フランスの田舎」といわれて思い浮かべるような風景が広がる村、それがオートワールだ。

人ひとり見かけないのどかな村

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オートワールは東西を緩やかな山に囲まれ、その谷間にある小さな村だ。村の中心を除けば殆どの家が谷の斜面に点在して建てられ、牧歌的風景を作っている。この地方によく見られる鳩小屋を各家の円柱型や箱形の塔の上に配し、それがひとつひとつ小さな城のように見える。屋根瓦はおそらくコロンジュ=ラ=ルージュと同じ土で作られているであろう赤黒い瓦、そして壁は木組みの間を石で埋めるフランスで良く見る造りだ。
朝一番でオートワールに到着しバスを降りると、初秋のひんやりとした朝の空気に包まれた村では人ひとり見かけない。最初に訪れた時もほとんど村人を見かけなかった。例によって村の中心へ、南北に走る唯一の大通りを進む。

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すると見事な時計塔が現れ、その前に噴水があるちょっとした広場に出た。ここが村の中心だ。最初に訪れた時に食事をしたアウトドア・テラス形式のレストランはなかった。代わりに広場と大通りに面したカフェ兼レストランのような店が1軒あった。広場にある噴水には花が飾られ、それを4体のイルカの像が囲んでいる。その噴水の後方に見える時計塔を持つ建物は、村唯一の大きな教会サン=ピエール教会だ。
この広場を中心に歩き回ってみる。北側は石灰岩が切り立った崖の手前の緑の斜面に、上述の通りぽつんぽつんと民家が点在している。そして大通りと並行してオートワール川(川といっても水量の少ない用水路のようなものだ)が流れている。



村に1軒しかないカフェ兼レストラン

朝一番だったからなのか、とても静かでおよそ人が住んでいる村のようには思えない。ところが村を一回りしているうち、いつの間にかカフェ兼レストランはオープンしており、どこから来たのか2~3人の観光客らしき人がコーヒーを飲んでいる。こんな静かな村だから昼食をとるのは無理かと思ってあきらめていたが、どうやらそれは免れたようだ。
そしてこのカフェ兼レストランはオーベルジュでもあった。団体で宿泊するのは無理そうだが(全部で9部屋)、個人で訪れる際には良い宿泊施設のようだ。とはいっても車がなければ訪れることは難しい。なにしろバスも通っていないのだから。一体ここの住民は普段どのような生活をしているのだろう。何らかの事情で車の運転が出来ない人だっているだろうと思うと、この村のロケーションはとても不便だ。そして筆者自身のように、昼でもワインを飲みたい人はどうするのか?
ドライバーとともにランチを取った。残念ながら今では何を食べたか思い出せないが、村にたった1軒しかないことを考えると、昼食を食べられただけでもとても有難いと思ったことは覚えている。食後はカフェとしても利用させてもらった。

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午後になると、やはりどこからか観光客が少しずつ現れては大通りを通り過ぎてゆく。中にはサン=ピエール教会に入っていく人もいる。バスも通っていない不便なロケーションに加え、観光要素というべきものはこの教会と噴水くらいだ。けれども観光客は訪れる。これが「フランスの最も美しい村々」に登録されている証なのだろう。遺していくべきフランスの原風景ともいえるオートワールは、その存在自体が美しい。

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