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アイルランド エメラルドの島めぐり
ヨーロッパ鉄道旅情
多彩な魅力が詰まった島
アイルランド島は、北海道と同じくらいの面積で、北部はイギリス領北部アイルランド、中部・南部はアイルランド共和国というように、2つの国に分かれています。もともとは、この島全体をイギリスが支配していましたが、後にアイルランド共和国がイギリスから独立して、現在の形になっています。
このページでは、島を縦横無尽に周遊するプランとして紹介するため、2つの国が共存するアイルランド島全体を「アイルランド」としてご案内します。
40種類もの緑色があるという、緑豊かなこの島の森林には、神々と妖精が暮らすといわれており、先住民ケルト人は、古代からこの島の自然の全てに精霊が宿るという言い伝えを守ってきました。八百万の神を重んじる日本と、考え方が少し似ていますね。さらに、ケルト文化とキリスト教が融合し、他のヨーロッパ圏とは少々異なる独自の文化を形成しています。
そんなアイルランドは、実は旅行者にとって多彩な魅力が詰まった島。
鉄道を利用して、緑のグラデーションが美しいエメラルド色にも見える島を周遊したり、雄大な自然の中で乗馬が楽しめ、イギリス同様島内に点在するビール醸造所やウィスキー蒸溜所を巡るなど、個人旅行の要素がこの島一つに詰まっています。
アイルランド政府観光庁のウェブサイトでは、代表的な3大観光ルートを案内していますが、当社ではそれと少し趣を変えて、個人旅行向きに鉄道の旅をメインにアレンジした、3ルートの周遊プランをご紹介します。ご案内のルートが全てというわけではないので、下記プランをもとに、ご自身だけのオリジナルプランをご計画ください。
アイルランドの鉄道事情
首都ダブリンから北はロンドンデリーまで、西はゴールウェイ及びウェストポートまで、南はコーク及びキラーニーまで放射線状に鉄道路線が延びておりますが、南西部のキラーニー、西のゴールウェイ及びウェストポート、北部のロンドンデリーを結ぶ路線がありません。
鉄道だけを利用する限りでは、北から南へ行くにも、南から北、西から南、西から北へ行くにも、全て東海岸の首都ダブリンを経由することになります。詳しくは、こちらの路線図をご覧ください。
事前に用意するレイル パスは、アイルランドの鉄道路線を網羅するユーレイル・アイルランド・パス。アイルランドでは、どの列車も事前予約をすることなく乗車できますので、レイル パスだけ用意すれば準備はOKです。
レイル パスでは乗車できませんが、鉄道ルートの補足として、アイルランド内を運行するアイルランド・バス(Bus Eireann)も活用しましょう。
世界遺産と世界最古のウィスキー蒸溜所
北部ルート ダブリン発着の最短周遊目安: 1泊2日〜
まずは北部へ。
ダブリンからベルファスト経由で、終点のロンドンデリーまでは片道約4時間ですので、途中観光しながら周遊しても、1泊2日から可能です。次の中央ルート、南部ルートへ行くには、再びダブリンに戻ります。
最初に、ダブリン〜ベルファスト間を結ぶ列車「エンタープライズ号」で約2時間、国境を越えて英国北アイルランドの首府ベルファストへ向かいます。 北アイルランド鉄道とアイルランド鉄道の共同で運行するエンタープライズ号は、無骨なディーゼル車が牽引する急行列車。他のヨーロッパ圏を運行する特急と同様、1等・2等に分かれ、1等では食事のサービスがあります。別に食堂車(カフェスタイル)も連結しているので、田園風景や東海岸線を眺めながら、簡単な食事を取ることも出来ます。 この列車の目的地、造船業で栄えたベルファストを一躍有名にしたのは、豪華客船「タイタニック号」をこの町で造ったこと。今でもこの町の港には、タイタニック号を造船した世界最大のドックがあり、一見の価値あり。
ダブリン、ベルファストからは、別途空港から送迎を含む乗馬ツアーをご案内しております。アイルランドは、イギリス同様乗馬が盛んな国。競走馬の育成も盛んです。当社ご案内の乗馬ツアーには、アイルランドの古城を巡る乗馬や、のどかなカントリーサイドを乗馬するプランなどございますので、乗馬がお好きな方は、この鉄道プランと組み合わせてはいかがでしょうか? 見積もりフォーム、又はメールにてお問い合わせ、ご依頼ください。
ベルファスト〜ロンドンデリー間には、火山活動によって出来た、六角形の岩が積み重なる巨大なテーブルのような岸壁の世界自然遺産ジャイアンツ・コーズ・ウェー(巨人の石道)があります。
ここにはこんな神話が...
『アイルランド伝説の巨人フィン・マックールが、スコットランドの巨人ベナンドナーと戦うために出来たのがコーズウェー。フィンは、スコットランドに行く前に眠くなってしまい、それを見たフィンの妻ウナは、フィンに毛布をかけて巨大な赤ん坊であるかのように見せました。そこへやってきたベナンドナーは、その赤ん坊の姿を見て、「父親のフィンはいったいどんなに大きいのだろう」と恐れをなして、逃げてしまったそうです。』
このような神話が多数残っていることが、アイルランドらしさなのかもしれません。
このジャイアンツ・コーズ・ウェーへは、最初にアイルランド鉄道の最寄駅ポートラッシュPortrush又はコールレーンColeraineからバスで約30分、ブッシュミルズへ移動します。ブッシュミルズからは、ジャイアンツ・コーズ・ウェー&ブッシュミルズ鉄道で約30分。とてもかわいらしいトラム列車が印象的です。私鉄のため、レイルパスの適用外ですのでご注意を。
このブッシュミルズには、世界最古のウィスキー蒸溜所である「オールド・ブッシュミルズ蒸溜所」があります。ウィスキー発祥の地であるアイルランドで、現在では4つの蒸溜所しか残っていないうちのひとつで、1608年創業です。ウィスキー好きであれば、アイリッシュ・ウィスキー巡りの起点にしてはいかがでしょう。
アイリッシュ・ウィスキーは、4つの種類(モルト、グレーン、ブレンデッド、ピュア・ポット・スティル)に分かれており、このうちブッシュミルズで蒸留されるのはモルト・ウィスキー。ここでは、ティスティングを含めた見学ツアーに参加することが出来ます。
その他の蒸溜所は、南部コーク郊外ミドルトンにあるミドルトン蒸溜所(コークよりバスで約30分、アイリッシュ・ウィスキーのみに見られるピュア・ポット・スティル・ウィスキーを蒸留)、島のほぼ中央キルベガンにあるクーリー蒸溜所及びキルベガン蒸溜所(ともに最寄駅マリンガーMullingarよりバスで30分)です。アイルランド島の北部、中部、南部に点在するこの4つの蒸溜所を巡るだけで、アイリッシュ・ウィスキー巡りの旅が出来そうです。いずれも、列車とバスを利用して訪れることが出来ます。
北部ルートの終点は、北アイルランド第2の都市、ロンドンデリー。
ベルファストから運行している、北アイルランド鉄道の終点です。西暦546年、蛇行するフォイル川岸に聖コロンバが修道院を建てたのが街の始まりで、アイルランド唯一の城塞都市でもあります。尖塔が美しい聖コロンバ大聖堂を中心とした旧市街は、ヨーロッパ圏の他の街に負けない美しさです。アイルランドの人々は、街の名前にイギリスの都市名がつくのを嫌い、単に「デリー」と呼ぶこともあるそうです。
ロンドンデリーの美しい町並みを楽しむため、ここで1泊して折り返しダブリンへ戻ります。
5っ星の古城ホテル
中央ルート ダブリン発着の最短周遊目安: 2泊3日〜
ダブリンから列車インター・シティで約3時間、アイルランドを横断するルートでは、西海岸の中心都市ゴールウェイまで移動します。ここからさらにバスで1時間のコリブ湖畔のコングにある、アッシュフォード・キャッスル・ホテルへの宿泊が、このルートのメインです。
この5っ星ホテルは、13世紀に建造された古城をホテルにしたもの。外観は、冷たいグレーの岩肌のような荘厳な造りにもかかわらず、ひとたび中に入ると、世界のトラベル・リーダーが選ぶベスト・リゾート・ホテルを始め、数々の賞賛を得ているラグジュアリー・リゾートであることにうなずけます。
全ての部屋から、コリブ湖と広大な敷地に広がる庭園を眺めることが出来るほか、館内では様々なスパ・トリートメントメニューをそろえています。城の中心に位置するメイン・ダイニング「George V」は、1906年プリンス・オブ・ウェールズ訪問の際、ギネス・ファミリーがもてなすために建てられたもの。広大な敷地では、様々なアクティビティーが用意されており、ゴルフ、乗馬、フィッシング、レイク・クルーズ、クレイ射撃などを体験することが出来ます。
このホテルのためだけにコリブ湖を訪れるのも、立派な旅の目的になる、そんなホテルです。
アッシュフォード・キャッスル・ホテルに1泊の後、コリブ湖とは反対の南側の「モハーの断崖」とバレン高原へも行っておきましょう。この2つは、ゴールウェイ発の1日ツアー(英語案内のみ)がありますので、ツアーを利用すれば効率よく廻ることが出来ます。
モハーの断崖は、バレン高原にあるアイルランド西端の断崖。その高さは、最も高いところで200mにもなります。晴れた日には、ゴールウェイ湾に浮かんだアラン諸島が望めます。この1日ツアーは、午前10時より所要時間7.5時間ほどですので、コリブ湖宿泊の翌日、ゴールウェイ1泊して参加するのが良いと思います。よって、この中央ルートは最短で2泊3日、最後は再びダブリンに戻ります。
ビール醸造所巡り
南部ルート ダブリン発着の最短周遊目安: 2泊3日〜
南部は、ダブリン〜キラーニー及びコークルート、ダブリン〜ウォーターフォードルートを中心にご案内します。
インター・シティで約3時間のキラーニーまで行けば、キラーニー国立公園があります。ここは、アイルランドの湖水地方とも言われるところ。夏にはたくさんの観光客が訪れるリゾート地でもあります。また、アイルランドの妖精が住むといわれる森としても有名で、公園内には「妖精横断注意」の看板まであります。公園までの交通の便が悪いので、キラーニーからの半日ツアーを利用したほうがよさそうです。
上述の通り、南部にはコーク郊外にミドルトン蒸溜所がありますので、ウィスキー巡りもよし、ダブリン市内にあるギネスから出発して、ビール醸造所巡りもよしの"アルコール"ルート。
ここでは、ビールめぐりの一案をご紹介します。出発地は、ダブリンにあるギネス(スタウト)ですが、当ウェブサイト内「ヨーロッパ・ビールめぐり」のページでもご紹介しておりますので、ここでは割愛します。
ビールめぐりの列車ルートは2本。
キラーニーまでのインター・シティは、途中マローでコーク行きに分かれます。その列車で、終点コークまで行くと、以下①、③の醸造所を訪問することが出来ます。
もう1本は、南部ウォーターフォード行きのインター・シティで行くルート。途中、カーローにて④、キルケニーにて以下②、⑤の醸造所を訪問することが出来ます。
この2本の列車ルートは、コーク行きのルート途中、リムリックでウォーターフォード行きのルートとを結んでいるので、コークを訪れた後ダブリンに戻ることなく、ウォーターフォード経由でキラーニー、カーローを訪れることが可能です。
文字だけではわかりにくいので、詳しくはこちらの路線図にてご確認ください。
- ①マーフィーズ ハイネケン傘下、スタウト
- ②セント・フランシス・アビー スミディックス傘下、キルケニーブランド、ペールエール
- ③ビーミッシュ ハイネケン傘下、スタウト
- ④カーロー オハラズブランド、スタウト
- ⑤スミディックス アイリッシュエール
- ⑥ホッカー ペールエール ※番外コークにあります
醸造所を訪れるには、いずれも事前予約が必要です。各ウェブサイトより、連絡しておきましょう。 ⑥は、上述の中央ルートの途中で立ち寄るとして、コーク、キルケニーに各1泊ずつすると上記醸造所を制覇することが出来ると思います。
ビールめぐりにはパブも欠かせません。
イギリス同様、アイルランドは、どの町にも必ずアイリッシュ・パブがあります。行く先々でふらっとその町のアイリッシュ・パブに立ち寄り、はしごをしてみるのも良いでしょう。日本の味噌汁に当たる「お袋の味」が、アイリッシュ・シチュー。本来は家庭料理で、ラム、たまねぎ、ジャガイモを煮込んだシチューです。どのパブでも召し上がることが出来ると思いますので、ビール同様食べ比べをすると面白いかもしれません。
また、アイリッシュ・ダンスとミュージックセッションも、パブならでは。フィドル(ヴァイオリン)、アコーディオン、ギターに似たブズーキーという楽器が奏でる軽快な音楽にあわせ、見事なステップでパブの夜を盛り上げます。
各ルートごとに周遊の目安を記載しておりますが、それぞれプラス1泊くらいの余裕をもってご計画していただくのが良いと考えます。またいずれのルートも発着地はダブリンですので、全てのルートを巡るのであればダブリンには複数回宿泊することになります。この分の宿泊数を考慮してご計画ください。 見積もりフォーム、又はメールにてお問い合わせ、ご依頼ください。
旅の目的に合わせて選ぶことが出来るアイルランドを一度訪れてみてください。
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