スペイン アンダルシア
ヨーロッパ・スケッチツアー オーダーメイド 個人からグループまで
スペインにもある美しい村巡り
今回(2010.5.24〜6.2)は、久しぶりにスペイン アンダルシアへのスケッチツアーです。 これは、グループツアーとして催行したプランですが、個人旅行にアレンジすることも可能です。ご要望を添えて見積もりフォーム、又はメールにてお問い合わせ、ご依頼ください。 グループスケッチツアーの概要は、こちらをご覧ください(旅行相談もお承りしております)。
今回は、アンダルシア、ロンダ中心という、はっきりとしたご希望を伺ってのプラン作りですので、その他の都市をどこにしようと考えたら、自然と白い村ルート(プエブロスブランコス街道: Ruta de los Pueblos Blancos)を中心としたプランとなりました。
当社のスケッチツアーは、それぞれのグループのオーガナイザーがまとめられた、おおよそのご要望を基本にしてプランニングしております。
グループによって、描く絵もモチーフも異なりますので、それぞれの趣向に沿ったプラン作りをさせて頂いておりますが、必ず新しいスケッチポイントを含めた日程作りに努めております。それぞれの趣向に合うような新しいスケッチポイントを探しだすのは容易ではなく、いつもいつも骨の折れる作業で、便利なインターネットも、この作業において万能というには程遠く、書籍の資料に頼ることが多々あります。
「フランスの最も美しい村々」を調べていて辿り着いた、菊間潤吾氏著の「フランスの美しき村」などには、随分と助けられています。この「美しい村々」をきっかけに、イタリアにも「イタリアの最も美しい村」があると知り、「スペインにもあるのでは?」と探したところ、似たような村の格付けがありました。
とはいっても、フランスやイタリアのように、そのための協会が存在するわけではなく、「スペイン人が選んだ美しい村」という漠然とした格付けのようです。その中でも、白い村ルートの起点となるアルコス・デ・ラ・フロンテーラと、終点となるロンダを取り上げました。
アルコス・デ・ラ・フロンテーラ スペイン人が選ぶ美しい村 No.9
この村が位置するカディス県には、「〜デ・ラ・フロンテーラ: 国境、境の」とつく名前が多いのですが、これはキリスト教国とイスラム教国の境だったことに由来します。
アルコス・デ・ラ・フロンテーラも同様で、ローマ人やアラブ人が住み分け、また、その名の通り軍事要塞、市壁といった構成を組み立てたからといわれています。アンダルシアの白い村というと、日本ではミハスやカサレス(後述)が有名ですが、スペインの人々にとっては、この村の方が有名なのだそうです。
日本より、航空機を乗り継ぎマラガに到着して1泊後、この村へ移動し3泊しました。
写真を見ても分かる通り、この村の中心は、サンタマリア教会、サンペドロ教会、アラブ城跡です。これを中心に、白壁の家並みが丘にそって裾野に広がり、旧市街は狭い道が迷路のように入り組んでいます。
この村で一番良い眺めといわれているのが、サンタマリア教会前にある、見晴らし台(ミラドール)から見る景色といわれていますが、実際にそこから眺めると、この村を囲むのどかな牧歌的風景(山々とその間を流れるグアダレーテ川など)しか見えません。
いわゆるスケッチのモチーフにはなりにくいので、そのミラドールの近くにあるパラドール(国営ホテル)に入らせてもらい、そのカフェのテラスより、サンペドロ教会を眺めたりする方がモチーフになるようです。
とはいえ、団体で絵を描くだけで、ホテルのカフェのテラスに入り浸るわけにはいかないので、お客様はもちろん、自身もスケッチポイントを探して歩き回り、いくつかの丘のアップダウンを超えてやっと見つけたのが、上記写真のポイントです。
その他にも、迷路のように入り組む旧市街の路地など、スケッチポイントはたくさんありました。
ロンダスペイン人が選ぶ美しい村 No.2
アルコス・デ・ラ・フロンテーラがカディス県なら、このロンダはマラガ県に属します。
絵を描かずとも、アンダルシアの観光拠点としてあまりにも有名なこのロンダ、町のシンボルは、新旧市街を結ぶヌエボ橋と闘牛場でしょう。ここにも3泊しましたが、毎日ひっきりなしに日本からのツアーが到着しては、お決まりのようにパラドールに1泊して去って行きました(1泊ではもったいないです!)。
今回ご参加の先生が20数年前に訪れ、ここのスケッチを作品にしたということで、先生にとっては思い出の地。そして、そのお教室の生徒さんにとっては、「先生がかつてスケッチし作品にしたモチーフで、ぜひ自分も」という気持ちだったのでしょう。ご出発前の下調べからロケハンまで、非常に熱がこもっていました。
さらに、先生が作品にしたある家がバールになっていたのですが、たまたま生徒さんのひとりが、携帯電話にその作品の写真を入れてあったので、そのバールのご主人に見せたら「昔のおれの家だ!」と言って意気投合した、というハプニング(?)までありました。
カベサ聖母の巡礼
アルコス・デ・ラ・フロンテーラ初日の夜、夕食をとっていると、突然ホテルの外から、パレードのような音が聞こえてきました。時刻は夜の9時頃、みんな食事もそこそこにあわてて外に出て行き、ホテルの前を通るそのパレードを、写真に収めました。
日本の山車のように、マリア像の乗った山車を担いで練り歩く姿は、そのあとホテルのテレビで見た映像と合わせ推察すると、どうも巡礼のようです。巡礼というと、サンティアゴ・デ・コンポステラへの巡礼を思い出すのですが、どうも違うようでした。
ロンダに移動し、やはりロンダ初日の夜(土曜日)、ホテルレストランのウェイターが私に「今晩は、このロンダで特別なお祭りがあるから、食事が終わったらホテル前の大通りに出てごらん」と言いました。食後に外に出ると、アルコス・デ・ラ・フロンテーラで見た巡礼を、さらに大規模にしたようなパレードです。
帰国後調べたところ、これは、カベサ聖母の巡礼(Romeria la Virgen de la Cabeza)という、アンダルシアでよくみられる聖母巡礼のうちの一つでした。毎年5月初旬より、アンダルシア各地の巡礼団は各々山車を引き、ドニャーナ国立公園近くのエル・ロシオを目指して、馬や幌馬車で巡礼の旅をするそうです。
この旅の目的は、5月中旬に御輿に乗せられ教会から担ぎ出される聖母像のご加護を受けることだそうで、ロンダでは2010年の場合、8月28日までの毎週土曜日行われるそうです。
キリスト教信仰の各国の中で、スペインではキリストよりもマリア崇拝が強い、ということもわかりました。スケッチが目的ではありますが、このようにその土地のお祭りに遭遇するのも、旅のスパイスです。
スペイン政府観光局の出版物では「聖母カベサ」と記載されていますが、スペイン語は「Virgen de la Cabeza」となるので、当ページでの記載は「カベサ聖母」としました。
カサレスジュリアスシーザーに由来する村
マラガ〜アルコス・デ・ラ・フロンテーラの移動途中に立ち寄った村。
その昔、ジュリアスシーザーが遠征の際立ち寄り、この村近くで湯治をしたことから、村の名前になったカサレス(Casares)。ポルトガルとの国境の州、エクストラマドゥーラにある、世界遺産都市カセレス(Caceres)とは違います。アンダルシアにある白い村の中でも、重要な村です。
ヨーロッパの村や町はいずれもそうですが、村の入り口から中心の教会までは、ほぼ一本道。カサレスも例外ではありません。アルコス・デ・ラ・フロンテーラ同様、丘の上に建てられた村なので、教会は頂上です。その坂道の急なこと!途中の村の中心、スペイン広場まではまだ緩やかなのですが、その先がとてもきつい。
やっとの思いで登った、頂上のエンカルナシオン教区教会は、事前の下調べではいい具合に朽ちた教会と紹介されていましたが、ちょうど改装が終わったばかりのようで、真新しい教会になっていました。残念!見晴らし台から望むジブラルタルとその遠くに見えるアフリカ、モロッコまで見える景色がその気持ちを消してくれます。
スペインに到着したばかりで、まだ日差しの強さに慣れておらず、白壁に反射する日差しがかなり厳しい村でした。
オルベラ この地域で最も美しいといわれる村
アルコスデラフロンテーラ〜ロンダの移動途中に立ち寄った村。
事前の下調べでは、この地域(多分白い村ルート一帯)で一番美しい村、と紹介されていましたが、スペイン人が選んだ美しい村にはランクインしていません。
名前の語源は諸説あり、ラテン語の「Ulva ウルヴァ: アオサ(緑藻の総称)の意味」に由来する説もあれば、周囲をオリーブで囲まれた村という意味の「Olivera」から由来するとも言われています。1983年に国の史跡に指定されました。
優美な2つの塔を備えたエンカルナシオン教区教会と、アラブ城が頂上にそびえた姿が印象的です。どの村も白壁ばかりではなく、教会の壁の色と白壁のコントラストが絵になります。
夏になる前の一番良い季節と思って訪問しましたが、日中は40度近い気温となり、スペイン人同様、スケッチにもシエスタが必要な毎日でした。でも、スケッチに雨は禁物、毎日晴れ続きであったことはよかったと思います。
今回は、スペイン人が選んだ美しい村を巡ったわけですが、ちなみにNo.1はというと、スペイン北部、バスク地方に近いサンティヤーナ・デル・マルという村です。緑豊かな北部スペインですが、スケッチ旅行にとって雨が多いのが難点。スペイン北部へのプランも温めて、いつか催行させたいものです。
アンダルシア スペインの風景をスケッチ
サンプル日程
上記日程は、モチーフは個々に異なる絵画教室の先生と生徒のみなさんの取材旅行に、観光を目的にした方が同行するスケッチツアーの催行事例の概要です。
グループツアーから個人旅行まで「行きたい旅」のご要望を添えて見積もりフォーム、又はメールにてお問い合わせ、ご依頼ください。旅行相談もお承りしております。