
ヨーロッパ・スケッチツアー
イタリア リグーリア・アルプス

ヨーロッパ・スケッチツアー
イタリア リグーリア・アルプス
「イタリアの最も美しい村々」
イタリア リグーリア・アルプスへのオーダーメイド・スケッチツアー催行例です。 グループツアーとして催行したプランですが、これをもとに個人旅行にアレンジすることも可能です。ご要望を添えて見積もりフォーム、又はメールにてお問い合わせ、ご依頼ください。
フランスから始まった各国の「美しい村々」への取り組みは、イタリア、ベルギーへと広がり、現在では日本へも広まっています。このツアーは、その活動が著しいイタリア、中でも北部のピエモンテ州から海岸ぎりぎりまでアルプス級の山並みが広がるリグーリア州へ。さらにはフランス、プロヴァンス・アルプ地方まで足を伸ばしたコースです。
【催行日程】2009年9月14日〜28日 【催行人数】10名 【催行形態】水彩中心の単一絵画教室によるグループ 【プランのポイント】オーガナイザーからの要望「山、又は山並みを背景にしたスケッチ」を受け、イタリア北部の山並みに囲まれた美しい村々を中心にプランを仕立てました。
訪れた各町の写真はPhoto Galleryをご覧ください。
アルバ白トリュフと百塔の町
トリノ空港から最初に向かったのは、ピエモンテ州クーネオ県にある町アルバ。今回訪れた箇所で、唯一町と呼べる規模です。 この町は別名「百塔の町」と呼ばれ、多角形の形をした旧市街の中には、中世の塔や塔状住宅がぎっしり立ち並んでいます。 あいにく、主だった塔をもつ建物は改装中で、建築現場の網がかかっていましたが、それでもドゥオーモや目抜き通りのヴィットリオ・エマヌエレ通り、カブール通りは中世の面影をよく残していました。
また、アルバは白トリュフで有名。今回帰国する日あたりからトリュフ祭りが始まり、世界中から貴重な白トリュフを求めてやってくるそうです。幸いこの世界的イベントの直前の滞在で、ゆっくりとアルバを歩くことが出来ました。 町中のレストランでは、黒トリュフならごく普通にランチで食べることが可能です。さすがに、白トリュフはめったに出会えることはないそうで、お土産に購入してきました。
宿泊したホテルは、旧市街の中に1軒しかない3っ星ホテル。スケッチに適したロケーションです。
ネイヴェバルバレスコの丘に囲まれた美しい村
アルバからガレッシオへ向かう途中立ち寄ったのは、今回訪れる美しい村々のうち最初の村ネイヴェ。これだけ小さな村は、日本で出版されているガイドブックなどには載ってなさそうです。周りをワイン用のブドウ畑に囲まれた小高い丘にあり、ひときわ高い時計塔Torre Comunale o dell'Orologioが目を引きます。
イタリアの2大ワインとして名高いバローロは、アルバをはさんで南西側、そして北東にはバルバレスコの畑が広がります。そのバルバレスコに隣接するこの村には、「Profumo di Vino ワインの香り」という別名がついているほどです。丘の斜面に広がるブドウ畑と赤い屋根の家並み、そしてひときわ目立つ時計塔は、それだけでひとつの絵になります。
アルバでは雨が多かったのですが、ネイヴェでは秋の澄んだ青い空に包まれました。村の中心にあるレストランでは、イタリアン・シェフを目指して修行中の日本人女性が働いていました。「こんな小さな村に・・・?」と、ちょっとびっくりしました。
ガレッシオ初めての日本人訪問
ピエモンテ州クーネオ県にある標高621mの、やはり美しい村々に認定されている村、ガレッシオ。アルピン山脈に囲まれたこの村は、一年中温暖なリビエラ海岸から、直線距離にしてわずか数十キロの位置にもかかわらず「ガレッシオ2000」というスキー場があり、イタリア人にとっては避暑地やスキーリゾート地として親しまれています。
また、イタリア各地にあるテルメの村のひとつとしても有名です。ここのテルメは飲む温泉で、町のいたるところに飲泉の水栓があり、地元ではこの温泉水からミネラルウォーターを作っています。
村全体は5つの地区に分かれており、そのうちのひとつBORGO MAGGIOREという地区が、美しい村々に認定されています。
ホテルオーナーの話によると、当グループが初の日本人訪問者ということで、市長はじめ村中がとても歓迎しているとのこと。翌日は市長と記念撮影をしたり、新聞記者が取材に来たりと大変な歓迎ぶりでした。今回、日本人訪問者第1号となったわけですから、参加者にとっても印象深い村になったようです。 この村を出発するまでにその新聞を入手できず、帰国後、新聞社L'Unione Monregaleseウェブサイトを見ると記事が掲載されていました(現在は削除されています)。
ホテルは、BORGO MAGGIOREの入り口に建つこの村唯一の3っ星ホテル(現在は閉業)。部屋に電話がないことに驚きましたが、家族経営の温かなホスピタリティで、とても快適な滞在が出来ました。
ズッカレッロ急遽立ち寄った美しい村
ガレッシオと、リビエラ海岸沿いのアルベンガとの中間地点には、3つの美しい村々が隣接しています。カステルビアンコ、カステルベッキオそしてズッカレッロです。 ツアー企画時、この3つのうちのどの村を入れるかで迷いましたが、結果カステルビアンコを日程に加えました。厳しい岩肌の山並みをバックに、灰色の家並みが丘の上に貼り付いている様子がモチーフによいと思ったからです。
ところが、カステルビアンコに到着してみると、皆口々に「四角い建物ばかりで、壁も真新しいし、絵にはならない」とのこと。そこで、来る途中に写真撮影で立ち寄っていたズッカレッロに戻ってスケッチ、ということになりました。
ズッカレッロは、村の中心を一本の道が走り、その道に面して回廊が続く、典型的な直線の建物で形成された、城壁に囲まれた村です。 また、この村のシンボル的存在は、川底が花崗岩の川にかかるロマネスク様式の石橋です。村の入り口から出口まで、10分もあればたどり着いてしまうところですが、メインの道から分かれた小道は、いたるところにモチーフが点在していました。
トリオラ標高776mの魔女裁判の村
今回の日程で唯一4泊したのは、やはり美しい村々に認定されたトリオラ。ひたすらくねくねした細い山道を登って、やっと到着した山村です。
この村は、12世紀以降キリスト教会の主導による魔女狩りが行われたところ。その後1588〜'89年に行われた魔女裁判の記録は、村の中央にある「民族と魔術の資料館」に納められています。 入り組んでひっそりとした小道を歩いていると、ふと「この村には自分ひとりしかいないのでは」という錯覚にとらわれます。そんな幻想的な村で、モチーフを求めロケハンです。細い路地、町外れに建つ15世紀のサン・ベルナルディーノ教会など、スケッチのモチーフはたくさんありました。標高が776mあるにもかかわらず、周りはさらに高い山々に囲まれ、山と村両方を描くことの出来るところです。
この村でも、中心にある唯一のホテル(現在は閉業)を利用しました。ロビー階にあるレストランからはテラス、そしてテーブルと椅子がおかれている広い庭へと続いていて、村全体の様子をスケッチするのに最適の場所です。 また、食事時のパンが非常に美味で、近所のパン屋から毎朝仕入れるとのこと。歩いてすぐのお店でも購入することができます。
アプリカーレイタリアの美しい村々の代表的存在
今回のツアーのメインとも言えるアプリカーレは、トリオラから日帰りでスケッチに出かけました。「イタリアの最も美しい村々協会」認定の村の中でも、最も美しいといわれる村です。 フランスとの国境にある、リグーリア・アルプス連峰の斜面にしがみついているようにあるこの村は、ほぼかつての中世の面影を伝えています。
麓の駐車場でバスを降りてから、村の中心を目指して曲がりくねった道を登ると、朝方トリオラで感じた涼しい秋から、急に夏に戻ったかのような気候も加わり、汗ばむくらいの坂道です。村の一番高いところにある広場に面した、石造りのマリア・マッダレーナ教区教会のファサードが、村全体を見下ろしています。 名前の語源は、ラテン語のApricus(Open to the sun、“太陽に向けて開かれた”という意味)だそうですが、その通り、リビエラ海岸全体に降り注ぐ太陽の陽ざしを一気に受けて、村が輝いているようでした。
トリオラからアプリカーレに向かう途中で、車窓から見かけた小さな村がアプリカーレによく似た全景だったので、ドライバーに尋ねたところ、カステル・ヴィットーリオというそうで、アプリカーレへと気持ちが急いていると、少し早とちりをしてしまいそうな村です。
ドルチェアックアモネの愛した村
トリオラからソスペルに向かう途中に立ち寄ったのは、ドルチェアックア。美しい村々には認定されていませんが、今回あえて日程に加えました。 クロード・モネが晩年たびたび立ち寄り、村の象徴とも言える13世紀に出来ためがね橋を描いています。たった数キロメートルでリビエラ海岸のヴェンティミリアに出られることもあり、アプリカーレ同様、リビエラ海岸エリアに降り注ぐ日差しはとても強く、それだけに古い路地や城跡、川沿いに建つ大きな時計塔を持つ教会とのコントラストがすばらしいものでした。
平日にもかかわらず、テッラ地区の中心の広場には市場が開かれて、地元の人々だけでなく観光客も大勢でにぎわっていました。最近は、ニース発着の日帰り定期観光バスがここドルチェアックア、アプリカーレ、さらにはトリオラまで回るそうです。 村の名前がそのままついたロゼのワインが名産。イタリア最後の小さな村のレストランで、焼き立てのピザとともに堪能しました。
ソスペル(フランス)国境に近い関所の村
ドルチェアックアを出発して国境を越え、ふたたび細い山道を登ってたどり着いたのは、フランス、プロヴァンスのアルプ・マリティーム県にあるソスペル。 かつては、ニースとコニ(旧名: 現在のトリノ)の間におかれた、塩運搬のための関所のような存在の村でした。村の中心にある11世紀に築かれたPont-Vieux。その橋の真ん中に今でも残る建物で、通行料などを徴収していたそうです。 イタリアとの国境近くにあるからか、フランスでありながらイタリアらしいカラフルな家並み、だまし絵の描かれた壁などは、まるでイタリアにいるかのようです。
今回のツアーでは、どこもホテルに恵まれました。ここソスペルには、ホテルがわずか3軒、そのうち一番規模の大きい2っ星のホテル(現在は閉業)を利用しました。気さくなオーナーが毎日みんなに声をかけてくれ、自ら撮影した全員の写真を、ワインのラベルにしてプレゼントしてくれたり、遠い日本からの旅人をとても親切に対応してくれました。 そして、ガレッシオに続き、ここでもまた地元新聞に載ることに。オーナーの撮影した写真とともに、記事に掲載されました。ここでは日本人は初めてではないそうですが、「スケッチ」を目的に訪れたということがとても珍しく、また嬉しかったようです。ホテルオーナーが、掲載された日の朝刊を人数分用意して、プレゼントしてくれました。