イタリア シチリアと南イタリア
ヨーロッパ・スケッチツアー オーダーメイド 個人からグループまで
イタリア南部の魅力をあますことなく
このスケッチツアーは、2002年に初めて催行したプランです。 スケッチのモチーフが多いとされる、中部イタリアのトスカーナやウンブリアとは少し趣を変えたプランとして企画したもので、南イタリア独特の町や村を取材するツアーとなりました。その後も多少アレンジを加えながら、このプランをスケッチを目的としたグループツアーとしてご案内し、催行してまいりました。
「再び同じ町を訪れること」は、旅の良さのひとつだと思います。同じ町でも訪れるたびに新たな発見があり、また、見知っているからこそ安堵する、そのことがスケッチツアー、個人旅行にかかわらず旅のきっかけになると思い、このプランをご案内します。
ピアッツァ・アルメリーナ五月雨に映えて絵になる町
長靴形のイタリアのつま先部分に位置するシチリア。中世の面影を色濃く残す町並みに加え、古代ギリシャ時代の影響が残る町や村が数多くあるこの島で最初に訪れたのは、シチリア第2の玄関口カターニャ西部に位置する、標高697mの山間の町ピアッツルァ・アメリーナです。 バスで近づくと、小高い丘に不規則にひしめき合った家並みが目の前に広がり、頂上に佇むランドマークのようなドゥオーモが存在感を示しています。町全体は、30分もあれば全体を歩きつくしてしまうような、「村」ともいえるほどの大きさです。
郊外(町からおよそ5kmほど)には、「カサーレの古代ローマの別荘」があります。帝政時代の貴族の別荘であり、シチリアにおける古代ローマ文明の最も重要な証拠だそうです。ここの舗床モザイクは、古代ローマ文化で最大規模かつ美しいとされるモザイクのひとつ。観光で訪れても充実している町です。
最初に訪れたのは気候が良いはずの5月。にもかかわらず、あいにく雨の続く毎日でしたが、雨が上がったわずかの間に撮影したこの写真は、まるで一枚の絵のようなアングルです。
この時を含め、ピアッツァ・アルメリーナへは3度ほど訪れていますが、いずれも同じ3っ星ホテルを利用しました。旧市街の入り口に位置し、ホテル横の道から曲がりくねった上り道を進めば、すぐに中心のガリバルディ広場やドゥオーモへ辿り着けるロケーションのホテルです。このホテルを訪れるごとに、スタッフが自分の顔を覚えてくれ、密かに「またこの町に帰ってきた」という、ちょっとした優越感を感じられる町です。
ラグーザとっておきの一枚
この写真は、初めてラグーザを訪れたときに撮影した一枚です。ヨーロッパらしい、民家の出窓の花飾りをわき目に、ラグーザ・スペリオーレ(高台のラグーザ、新市街)からラグーザ・イブラ(城塞のラグーザ、旧市街)を見下ろして撮影しています。2つの地区を結ぶのは、右手に見えるサンタ・マリア・デッレ・スカーレ教会から続く、レ・スカレと呼ばれるつづら折りの階段坂道です。イブラ地区は、緑の盆地にぽっかりと浮かぶ陸の小島のように見え、この地区全体が世界文化遺産に登録されています。ピアッツァ・アルメリーナとは多少趣が違いますが、これもまた、中世のヨーロッパの面影を今に伝えています。手前みそではありますが、気に入っている一枚です。
ピアッツァ・アルメリーナに2泊後、ここラグーザに3泊しました。利用したホテルはスペリオーレの中心、レ・スカレまでの一本道に面した3っ星ホテル。ホテルそのものよりも、レストランでの毎日の夕食が美味しかったことが、印象深く記憶に残っています。主なスケッチポイントがあるラグーザ・イブラまで歩いて行ける、便利なロケーションです。
2014年、取材で再びラグーザを訪れました。シラクーザからの日帰りで訪れたため、宿泊することはありませんでしたが、かつて訪れた時とほぼ変わりない町並みを撮影してくることが出来ました。移り変わりが早い日本とは異なり、ヨーロッパの街並みはいつも変わらぬ姿で出迎えてくれ、以前訪れた時のことを鮮明に思い出させてくれます。
シラクーザ水辺のモチーフ
ラグーザの次に訪れたのは、カターニャの南、シチリア島南東部の海岸に位置するシラクーザ。どことなくクロアチアのドブロヴニクを連想させる、旧市街のオルティジア島と本島部を一本の橋がつないでおり、「シチリア一美しい町」と称されています。 シラクーザは、アテネやエジプトのアレクサンドリアと並び、ギリシャ世界の政治、文化の重要な拠点のひとつであったことを物語る、数々の証拠が残っています。事実、旧市街のオルティジア島から古代都市の開発がすすめられ、そこからシチリア全土にギリシャ文化が広まったといわれています。
スケッチのモチーフは、油彩・水彩など技法によっても変わるようで、主に油彩の方は、水辺の町をよくモチーフとして選ばれるようです。ピアッツァ・アルメリーナ、ラグーザと山間の町をスケッチしてきた後に訪れたこの海沿いの町は、モチーフを変えるのにちょうどよかったと思います。
シラクーザでは、訪れるたびに利用するホテルが違い、現在ではなくなってしまったホテルもあります。ラグーザ同様、2014年撮影取材のため再びシラクーザを訪れ、ここも4度目の訪問となりました。各ホテルの印象は薄くても、シラクーザの照りつけるような日差しと白い石造りの町並みの印象は、いつの時も鮮明です。
マテーラ馴染みのホテル
シチリア島を後にし、カターニャ空港からローマ経由でマテーラの最寄空港バーリまで空路で移動、その後バスでマテーラへ。離陸すると、すぐ左手にエトナ山が眼下に見えてきます。ローマまでの飛行機は、機材も小さいため飛行高度が低く、ちょうどこの時はエトナ山から噴煙が昇っていました。
マテーラには、このツアーを含め4回訪問しており、いずれも同じ3っ星ホテルに宿泊しています。このホテルは、笑顔が素敵なマダムをはじめ、家族で経営しているホテル。 マダム自身はイタリア語しか話せませんが、そんなことはお構いなし。日本のお客様に限らず、全ての宿泊者にとても親切に接してはあれこれ世話を焼く、まさにイタリアのマンマです。地元の人たちに評判のホテル内レストランも家族で切り盛りしていて、いかにもマンマの味といった郷土料理を頂くことが出来ます。この記事を書くに当たり、久しぶりにホテルのウェブサイトを見たら、まだまだ現役で切り盛りしているようでとてもうれしく思いました。
バジリカータ州マテーラ県のマテーラは、世界文化遺産に登録され、イタリアを訪れたら行きたい町のひとつに挙げられています。ドゥオーモが町を二分し、北側はサッソ・バリサーノ、南側はサッソ・カヴェオーソと呼ばれています。 ホテルはサッソ・カヴェオーソの始点に位置し、世界文化遺産に指定された所以の「サッシ」と呼ばれる独特の長屋造りの町並みを歩くのに、とてもよいロケーションです。ドゥオーモ近くには音楽学校があり、クラシックの調べを聴きながらスケッチや散策ができることも。ホテル近くには中華料理店があり、醤油やお米の味が恋しくなった時に便利です。
オストゥーニプーリア州の特色が凝縮した町
マテーラ同様、世界文化遺産であるアルベロベッロへ向かい、日中スケッチ。その後向かったのは、長靴に例えられるイタリアのかかと部分、プーリア州ブリンディシ県のオストゥーニ。オリーブ畑に囲まれた小高い丘に建つ真っ白な町並みは、まるで紺碧の海を進む巨大な客船のように見えます。 町は新市街、旧市街と分かれており、客船のように見えたのは旧市街部分。その入り口から反時計回りの登り道をたどっていけば、頂上の15世紀末に建てられた大聖堂へと辿り着きます。町並みは狭い路地、階段、段違いアーチが迷路のように巡り、そして全体が石灰で白く塗られていることが、何より印象的です。
途中には、洞窟のような造りのレストランがあり、この地方の名物オルキエッレ(耳の形をしたショートパスタ)が美味です。また、昼からリーズナブルな値段で、様々な種類のピザが食べられる人気のピッツァリアがあり、食事には事欠きません。
マテーラ同様オストゥーニも4回訪れており、いずれも同じ4っ星クラスのホテルを利用しています。部屋のバルコニーからは一面のオリーブ畑、その向こうに佇むオストゥーニの旧市街とアドリア海が一望できる、高台に建つホテルです。夕暮れ時には、陽が刻々と沈み空の色が変わる中、ライトアップされた旧市街が浮かび上がる、幻想的な光景が楽しめます。このホテルも、上品な雰囲気の名物マダムが切り盛りしています。 旅の締めくくりは、オストゥーニに近いブリンディシ空港よりミラノ経由(現在はローマ経由)で帰国。
シチリアと南イタリア イタリアの風景をスケッチ
サンプル日程
いままで数多くのスケッチツアーに同行していますが、何度も同じ日程をご案内している分、このプランで訪れた各町は、特に深い印象を持っています。 馴染みになりつつあるホテル、南イタリアの強い日差しを考えて作られてきた街並み、訪れる度に陽気に迎えてくれ、都会のようなせわしなさがないシチリアと南イタリアの人々とのやりとりなど、鮮明に覚えているものです。 いつかまた、新たなお客様と縁あってこのプランを催行できるときが来ればよいと思います。
上記日程は、絵画教室の先生と生徒のみなさんがモチーフに合うロケーションにて作品を仕上げることを目的にしたスケッチツアーの催行事例の概要です。
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